堅実に成長している企業を見抜く本☆☆☆

勝間和代の著書.企業の損益計算書,バランスシート,キャッシュフロー表を分析し,企業経営の体質を見抜く.健全な企業活動が行われているかどうか,決算にごまかしが無いか,ごまかしているとしたら利益を隠す方向であるか,それとも利益を誇張する方向であるかなどを決算書から見破る具体的な方法を教えてくれる.

投資スタンス

決算短信から企業の今後の業績を予想するために必要な物の見方を教えてくれる.業務が比較的単純な中小企業,新興企業の動向を読み解くには役立つ書物といえる.特に新興企業の次の1年の判断を行う際にはこの本に書かれているような分析をすると良いと思われる.スタンスとしては完全にファンダメンタル分析であり,買うタイミングについては考慮していない.

要求レベル

要求レベルはかなり高い.基本的な会計の知識があるとより理解し易いが,別段なくとも頑張れば理解できる範囲ではある.しかしここに書かれてある事を全て実行しようとすると難易度が高すぎるし,手間もかかりすぎる.実際のファンドマネージャーでもないんだから忙しい社会人にここまでできるのかと正直疑問に思う.いやできないだろう.またこれだけで投資に勝てるかというとそうでもない.実際に堅実に成長している企業であっても相場の地合が悪いと下降するし,競争で毎年優位に立てるとも限らない.あくまで一要素として理解しよう.

決算短信チェックポイント

比較的簡単にチェックできる部分をまとめる.このあたりまでならば手軽に実践できそうである.
1.会計処理方法に変更は無いか?
2.営業キャッシュフローはコンスタントに伸びているか?
⇒その会社が本業でどれだけ稼いでいるのかがわかる.会計操作がやりにくい箇所である.
3.営業キャッシュフローで投資キャッシュフロー,財務キャッシュフローを賄えているか
⇒堅実な経営ができている事が予想される
4.営業キャッシュフローは営業利益の60%〜120%に収まっているか?
⇒営業キャッシュフローが低いと棚卸資産が増えているとか,売り掛け金がたまっているとか良くない事が予想される.
5.ROAは伸びているか
⇒ROAは,企業が持っている総資産が,利益獲得のためにどれだけ有効活用されているかを表す財務指標.利益をひねり出すために費用を先送りして資産化するというテクニックを使ったためにROAが下がったのかもしれない.と疑うべきである.
6.売上高,営業利益,経常利益はバランスよく伸びているか?
⇒規模の経済が働いて,売上高の伸びよりも営業利益,経常利益が高くなるはずである.そうでなければどこか無理している.
7.買収で売り上げを伸ばそうとしていないか?
⇒全てがそうではないが,自社で成長の見込みがなくなったから買収をする事が多い.基本的には自社に投資をして売り上げを伸ばそうとしている企業の方が実力があるといえる.